セキュリティ費用を抑える知恵

無料でできる!中小企業の情報漏洩防止対策:ウェブサイトと社内システムの安全確保

Tags: 中小企業, 情報漏洩, 不正アクセス, セキュリティ対策, 無料

はじめに

情報漏洩や不正アクセスは、現代のビジネスにおいて中小企業にとっても他人事ではない重大なリスクです。一度発生すれば、企業の信頼失墜、顧客からの信用低下、経済的損失、さらには事業継続そのものが危ぶまれる事態に発展する可能性もあります。しかし、専門のセキュリティ業者に依頼するほどの予算は確保できない、何から手をつければ良いか分からない、といった悩みを抱える経営者の方も少なくありません。

この度、本記事では、限られた予算の中でも、特に費用をかけずに実践できるウェブサイトや社内システムのセキュリティ対策に焦点を当て、情報漏洩を防ぐための具体的な方法を分かりやすく解説いたします。専門知識がなくてもすぐに取り組める内容ですので、ぜひご自身の事業所に取り入れてみてください。

不正アクセスと情報漏洩のリスクを理解する

不正アクセスとは、権限のない者がコンピューターやネットワークに侵入し、システムを操作したり、情報を窃取したりする行為を指します。これにより引き起こされるのが情報漏洩です。顧客情報、従業員情報、取引先のデータ、企業の機密情報などが外部に流出してしまいます。

中小企業は「狙われないだろう」と考えがちですが、実際には大手企業よりもセキュリティが手薄なため、サイバー攻撃の標的となりやすい傾向があります。特定の企業を狙う標的型攻撃だけでなく、無作為にばらまかれる攻撃によって思わぬ被害に遭うこともあります。

費用をかけずにできる情報漏洩防止対策の基本

ここでは、コストを抑えつつ、ウェブサイトや社内システムの情報漏洩リスクを大幅に低減するための具体的な対策をご紹介します。

1. パスワードの強化と管理を徹底する

パスワードは、ウェブサイトやシステムへの不正アクセスを防ぐための最初の砦です。

2. OSとソフトウェアは常に最新の状態に保つ

パソコンのOS(Windows、macOSなど)や、業務で利用するソフトウェア(Webブラウザ、PDF閲覧ソフト、Officeソフト、ウェブサイトを構築しているCMSなど)には、脆弱性と呼ばれるセキュリティ上の弱点が見つかることがあります。

3. アクセス権限を最小限に設定する

社内システムや共有ファイルサーバー、ウェブサイトの管理画面などへのアクセス権限は、必要最小限に設定することが重要です。

4. ウェブサイトやシステムの基本的なセキュリティ設定を確認する

自社のウェブサイトやサーバー、あるいは利用しているクラウドサービスには、無料で設定できるセキュリティ機能が用意されている場合があります。

5. 不審なメールやファイルには細心の注意を払う

不正アクセスや情報漏洩の入り口として最も多いのが、従業員が誤って不審なメールを開いたり、添付ファイルを実行したりすることです。

社内セキュリティルールの策定を検討する

上記の対策を従業員任せにするのではなく、社内全体でセキュリティ意識を高め、統一されたルールを設けることが重要です。正式なセキュリティポリシーの作成は専門的な知識を要しますが、まずは基本的な「社内ルール」として以下のような項目を定めてみましょう。

ひな形や参考情報としては、IPA(情報処理推進機構)のウェブサイトなどで、中小企業向けのセキュリティガイドラインやチェックリストが公開されています。これらを参考に、自社に合ったルールを作成してください。

まずはここから!すぐに始められるチェックリスト

  1. ウェブサイトや社内システムのパスワードは、複雑でサービスごとに異なるものになっていますか?
  2. 二段階認証(多要素認証)が利用可能なサービスでは、導入済みですか?
  3. OSや業務で利用するソフトウェアの自動更新は有効になっていますか?
  4. 使っていない古いソフトウェアは削除されていますか?
  5. ウェブサイトや社内システムへのアクセス権限は、必要最小限に設定されていますか?
  6. 退職者のアカウントは速やかに削除または停止されていますか?
  7. ウェブサイトにはSSL/TLS(URLが「https://」)が適用されていますか?
  8. ウェブサイト管理画面などへのアクセス元IPアドレス制限を検討していますか?
  9. 不審なメールや添付ファイルに対する従業員への注意喚起はできていますか?

おわりに

情報漏洩や不正アクセス対策は、一度行えば終わりというものではありません。技術の進化とともに脅威も変化するため、継続的な見直しと対策が必要です。しかし、今回ご紹介した対策は、いずれも費用をかけずに、今すぐにでも始められるものばかりです。

まずはこのチェックリストを活用し、自社のセキュリティ状況を確認することから始めてみてください。小さな一歩の積み重ねが、大切な情報と事業を守る大きな力となります。ご不明な点があれば、信頼できるIT担当者や専門家にご相談いただくことも有効です。